スチュワーデス研究



全日空 制服特集

〜1990年 ストライプ制服〜







         (右)ANA8代目ストライプ制服 1990-2005年
    (中央)は前代の7代目制服 1982-1990年
(左)6代目制服 1979-1982年






発表当初は「何だかピンと来ない」「シカゴのギャングかよ」

という意見も多かった8代目制服

スチュワーデスらしいデザインから脱却をし、

ダブルのスーツスタイルの制服を採用したのは めずらしかった

さえない制服と思われていたのは初期の頃、

しかしこれが今となってはCAらしい素敵な制服、

この制服が一番良かったとの評価を得るに至っている

なぜか?



通常、航空会社の制服改訂は5年から8年くらいのサイクルで行われるもの

しかしこのストライプ制服の着用期間はなんと14年6か月。

これは非常にめずらしいケースである

ANAは2000年前後に制服改訂を予定していたのだが

折しも航空不況によって改訂を断念した経緯がある

制服が古くさいと言われつつも引き延ばしに引き延ばし、

結局は14年半も引っ張った

長い期間、同じ制服を見ていれば「刷り込み効果」が強くなるのは当然。



例えば風俗店のスッチー衣装やコスプレのスッチー衣装。

存在していたレプリカの制服といえばJALの制服をイメージした、

紺と赤の制服が主流であった。しかしスッチーの制服の代名詞でもあったJALの制服は

1998年に地味な色合いのスーツスタイルに改訂されてしまう

そのため残る国内大手のANA制服へと注目が集まるのは自然の成り行きであった

最近ではテレビドラマやAV、風俗店など、

スッチーの制服のレプリカは必ずと言っていいほどストライプのスーツに変化している

これほどまでに「スッチー=ストライプの制服」という刷り込みがなされたのは

JAL制服の"撃沈"とANA業績不調による"長期制服"14年という歳月の成せる技であろう






90年代 全日空の広告。画像をクリック



デザインは前代に続き、大御所アシダジュン氏である

前代を継承し、夏服、冬服でデザインの違いも有り

そして特徴的なのは3色のスカーフ、ブラウス、エプロンをフライトごとに

CAが好みで選択出来るようになったこと

色はアクアマリン、バイオレット、コーラルピンクと称する三色



同色のコートもあり、アイテム数は黄金期のJALに並ぶ多さ

この中で意外と知られていないのが手袋の存在である

乗客の迎えと見送り時にスチュワーデスは白手袋を着用するのであるが、

これは各社とも平凡な白色であった。しかしこのANAの制服は当初、

スカーフ&プラウスに合わせたパープル、グリーン、ピンクの

手袋が用意されていたのである

これはなかなかお洒落でトータルコーディネイトとして素晴らしいものであった






エプロンも3色用意された。画像をクリック



しかしながら この手袋、支給される際には平凡な白手袋へと変更されてしまう

コストの問題か、はたまた制服発表の場だけのパフォーマンスだったのかは不明・・・



さて、ベテランのスチュワーデスファンの皆様方なら夏冬のデサインの違いを

すべてご存知だと思うが、ここでは改めてそれらの点を確認しようと思う

まずは生地の色合い。冬の紺色の方が濃く、夏服は少し明るめの紺

正面から見た際に最も簡単にわかるのはボタンの数

ダブルのジャケットのボタンの数が違っていて夏服は4つ、冬服は6つとなっている






ANA冬服。画像をクリック



この改訂では長年使われて来たレオナルドダヴィンチのヘリコプターマークのロゴが消え、

すべてANAマークとなる

制帽は前代と同じく、冬服用にはフエルト製、夏服用には麦わら帽子となった

しかしこの制帽、1998年に廃止となってしまう

JALが制帽を廃止したスーツスタイルの制服に改訂したこと、

全世界的に帽子を着用している航空会社が減り、

帽子が古くさいイメージになったことも理由のひとつ

制服改訂が出来ればベストだったのだろうが、

とりあえずコスト削減のために制帽のみを廃止にしたようである



制靴は前代に続いて高島屋製

前部分にナナメの切り返しデザインが入り、

色も特注のパンスト「ベルパワー」とトータルコーディネイトされた紺色である

パンストについてはパンスト特集へ。






高島屋製ローヒール。高さは1種類のみ。画像をクリック



ベルトは今までのゴルフのオッサンっぽいデザイン!?から

女性らしい楕円形デザインのベルトへと変更された



8代目制服の着用開始は1990年の11月。初めの頃は

{ブラウス→ピンク + エプロン→グリーン}という組み合わせをするCAも見られた

これは大阪ベースのCAによく見られたパターンで

原色の派手さ!?を狙ってのコーディネイトだったのかもしれない

後に着用のルールが決められ、違う色での組み合わせはNGとなり、

スカーフ、ブラウス、エプロンは必ず同色の組み合わせで着用することとなった



スカーフは前代のものとは違い、正方形の大判スカーフ

そのために結び方は多種多様である

今日のフライトは何色を着ていくか、スカーフの結び方はどうするか

楽しみは多かったようである



「私はピンクは絶対着ないの。カワイイけど 子供っぽいでしょ。」

「わたしはいつもバイオレット。グリーンとピンクは たまに着るくらいね。」

「えっ、私なんていつも黒のレースのスケスケよ。」

とジョークを飛ばしたCAがいたかどうかは定かではないが

CAそれぞれの好みや気分で色を選んでいたようだ






(左)前代のベルト、(右)ストライプ制服のベルト。画像をクリック



2005年、9代目となる新制服が登場。

制服改訂論とともにANA現行制服の章をご覧頂きたい

改訂の度にどんどん地味になっていくCAの制服

首にスカーフを巻いてさえいればそれはスッチー、

などという単純シンプルな制服はもう勘弁してほしい



女の子のオシャレという面をとってもCAからも非常に評判の良かったストライプ制服

CAも満足、乗客も満足、ならばあと10年くらい同じに制服にしておいても

良かったのではないか(笑)

ジョークに聞こえたかもしれないが長期に渡って同一デザインでありながら

評判の良い制服は実際に存在している。それはシンガポール航空の制服

企業の宣伝戦略としては素晴らしいものだと思う



未だに"スチュワーデスは憧れの職業"とマスコミが持ち上げ、

キャビンアテンダントと名称を変えつつも彼女たちを主役に仕立て上げる

航空会社はCAを宣伝の道具にするならば、

その重要なポイントである制服に関してコスト削減をするばかりではなく

華やかさ、セクシーさ、気品、個性、トータルのデザイン・・・

今後はそれら全てに新しい発想を持って制服を考えてほしい

えっ?余計なお世話?

こりゃまた失礼いたしました!っと





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2007.3.29