マスコミが作り出す幻想

〜お嬢様で英語も堪能、美人でスタイル抜群なスッチー〜





2004年7月、スチュワーデスの写真集が発売された

タイトルは「JALオフィシャルスタイルブック・SKY BEAUTY」

日本航空全面協力のもと発刊された雑誌である

ディープなマニアの方々なら御存知かと思うが以前、日本航空が編集に直接携わり、

数回に渡って同様の写真集が発刊されたことがある

今回の発売は実に1988年以来、16年振りのJALスチュワーデス本である






JALオフィシャルスタイルブック SKY BEAUTY・講談社刊




本の見出しにはこう書いてある

「永遠の憧れ CAのすべてを知りたい!」



ここで当サイトは声を大にして言いたい!

NHK全国弁論大会にでも出場して声を大にして訴えたい!

「あーあ、またか!

なぜマスコミは時代錯誤で 誤解を生むような伝え方をするのか!」



テレビ、ドラマ、ニュース、雑誌。すべてのマスコミが

憧れの的、美人・・・というような報道、宣伝を延々と続けている

これは昭和30年代から全くと言っていいほど変化がない



スチュワーデスに対する誤解、幻想の発端については その実態歴史と制服などで一部解説した

以下がよくある誤解 & 当サイトの非常にキビしぃぃ 分析である





【スチュワーデスは美人でスタイル抜群】

現在、日系のCAは各社とも容姿で審査はしていない

容姿を採用基準にしているのは

シンガポール航空、アシアナ航空などアジアの一部のエアラインのみ

CAの仕事は激務である。まず健康が第一。

採用担当者としては、多少美しくなくても丈夫な女性を採用する

スチュワーデスが美人ばかりだった時代は1970年代で終焉を迎えている



いまCA100人を揃えた場合、美人は1人いるかいないか、

20人が普通、あとの80人は普通以下の容姿である

ウソだと思うのなら成田空港へ。午前中の出発ラッシュ、

午後の到着ラッシュの時間帯に空港に出かけてみてほしい

200-300人程度のCAが観察でき、悲しい気分になる事が可能だ







1970年代の「スチュワーデスの本」




【おしとやかでお嬢様・仕事のできるキャリアウーマン】

昔は給料も高かったのでお嬢様CAも多くいた

しかし今は契約制、お嬢様は安い給料でキツイ仕事は選ばない

お嬢様ではないがお嬢様的でおしとやか というか、

トロいタイプはたまにいたりもする

従順なタイプは会社としても扱いやすい



キャリアウーマンタイプもいるように思えるが

それは昔に採用されたCAの一部が生き残っているだけ

現在は独立心が強く、かつ長期間働きそうなタイプは敬遠される

ペテランも必要ではあるがベテランだらけになってしまうと

人件費が会社を圧迫する

出来れば契約制CAの契約期間で(正社員に登用されないうちに)

とっとと退職してくれれば、人件費も安く済む





【英語も堪能】

帰国子女のCAは別にして実際に英語を喋れるCAは少ない

日系のエアラインの乗客は日本人がほとんど

外国人の乗客がいても、機内で使う英語は限られている

採用時に英会話の試験もあるが、あくまで受験レベルの英語と英会話



CAfun管理人の友人 日系某社CAの話

この日のフライトは外国人のキャプテンと日本人の副操縦士が担当

コックピットに用事があり、彼女は機内のインターフォンで連絡

「Hello...」

外国人のキャプテンがインターフォンに出た

彼女は日本人の副操縦士が電話に出ると思っていたので

伝えたいことが とっさに英語で出て来なかった

そこで彼女の取った行動とは・・・

英語が喋れなかったので、その場でインターフォンを切ったそうである

機内のインターフォンで無言電話かよっ!

本当の話である(笑)





【CAは憧れ、だから競争率も高い】

マスコミの誤った報道で素敵な憧れの存在に

仕立て上げられてしまったCAという職業

航空会社の客室乗務員募集時にはCA志望者が殺到する

本来ならばそれなりの学力・適正など、標準レベルが大前提にあり

そこから振るい落としていくものだが、近年の入社試験は

どうしようもない受験者を切り捨てるのが一次試験、

と言っても間違いではない

飛行機に一度も乗ったことがなくイメージだけを膨らませている学生、

失礼ながら普通の企業でも受からないだろうと思えるような者、

競争率が高い原因は通常では考えられない者までもが

スチュワーデスの採用試験に集まってしまうため。

人気と誤解は紙一重というところか。







1988年の「スチュワーデスばんざい」日本航空刊
表紙は現在TV東京のニュースキャスター 小谷真生子






以上のように事実を曲げ、マスコミが何十年過ぎても

未だにCAを「憧れの存在」に仕立て上げようとする目的は何か?

中にはCAと接点がなく想像だけで記事を書き、

「スッチーは美人でお嬢様で・・・」

と本気で思っているマスコミ関係者もいるかもしれない



これらの記事、報道、宣伝はマスコミの伝統的なお家芸であると推測する

先輩から後輩へ、間違った認識が企画会議で承認され続ける

誰もそれを否定しないし、否定するほど CAに関しての知識もない

結局は「長年に渡って憧れの存在なのだから、今もそうだろう、

実際スッチーはお高いし高嶺の花だし」

などという根拠のない理由と先入観で放送や出版をしているものと思われる

また航空会社を持ち上げる為、ある商品を宣伝する為に

都合良く脚色している場合もあるだろう



それを観たCA志望者は「やっぱりCAに憧れるナー」と思い、

CA本人たちも「私たちは注目されてる」「憧れの存在なのね」と誤解し、

スッチー好きの我々も「高嶺の花だな。一度は付き合いたい」と考えてしまい、

更にそれを観たマスコミが「やっぱり憧れの存在なんだな」とまた記事を書いてしまい・・・

現実はどこかに放置され、誤解が誤解を生む悪循環の典型。

それはまるで暴走する高速増殖炉のようである









スカイマーク初就航時に発売された「Open Sky」
CAの水着姿などもあるめずらしい写真集




沖縄の離島を結ぶ JTA(旧 南西航空)は日本で唯一例外的なエアライン

何が例外か?

乗客は手ぶらで乗って来てさっさと座る。荷物があったら手際よくストウェッジへ

各自到着まで おとなしくしている

親類の家を訪ねるおばあさん、離島から那覇へ買い物に行く高校生、

仕事で移動する沖縄のビジネスマン・・・

機内の風景は那覇市内を走るバスと何も変わりがない



飛行時間が短い事も手伝ってJTA・CAの仕事ぶりは事務的

もちろん笑顔でフレンドリーに接してくれるCAもいれば

感じの悪いCAもいる。しかし乗客はそんなことは気にしていない

物事をあまり気にしない沖縄気質もあるが、

彼らは飛行機に乗り馴れており、飛行機を特別な乗り物として意識していない

従ってスチュワーデスについても特別な存在という意識は薄い



JAL・ANAなど他の航空会社の場合、また多くの日本人にとってはどうだろう?

まだまだ飛行機は特別な乗り物であり、そこにいるスチュワーデスも特別な存在、

制服姿も妙に美人に見えてしまう

コートを預かってくれ、荷物を棚に上げてくれ、などなど

CAに様々なサービスを求める

感じの悪いCAに当たればあの航空会社は最低と言い、美人に当たれば

あそこのエアラインは美人が多いと喜ぶ、一喜一憂状態・・・



「スチュワーデスの地位の高い国は文化レベルの低い国」という説も有る

アメリカの飛行機は日本の鉄道と同等で単なる移動手段

スチュワーデスには綺麗なお姉さんもいるが、

気さくな太ったオバちゃんもいたりする

かつてアメリカでは日本と同様、スチュワーデスが憧れの存在という時代もあった

しかし現在では誰もCAを特別扱いはせず、ごく普通の職業と考えている





結論。

スチュワーデス=特別な存在

このような意識が無意識のうちに植え付けられている

それは先入観と推測のみで事実と異なる間違った報道や

少しの事実を過剰に脚色しているマスコミの影響が大きい



誤解が誤解を生み、CA自身が誤解の渦に巻き込まれ、不幸に陥る。

「スチュワーデスの時間的・空間的孤立2」へ続く



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2004.7