スチュワーデスの寮生活
〜寮生活の実際〜
ケース1
日本航空 スチュワーデス SS435期(仮定)
西園寺あかね(仮名)。鹿児島県出身・20才
日本航空・成田オペレーションセンター玄関
今日もフライトが終わり、あかねさんはクタクタ。
訓練、OJTを乗り越え、何とか先輩たちの動きについていけるようになった
しかしまだまだ新人スチュワーデス、覚えることは山ほどある
「あー、きょうもほんのこてつかれたー」
気を抜くと、うっかり鹿児島弁が出てしまうあかねちゃん
「あかねちゃん、なに喋ってるのか わかんないよ」
同期からも鹿児島弁を指摘され、西園寺という名字が長いがために
「さいおんさん」、そしてとうとう「西郷さん」と呼ばれ、
「きょうは犬は連れてないの?」と聞かれるに至っては
少しムッとしているあかねちゃんだが
オペセン玄関に入ってきたタクシーを見つけるや、
元気にカートを引いてオペセンを後にする
寮住まいは行き帰りとも配車がつくので楽だ
重いスーツケースを持ってリムジンバスや電車で帰る先輩たちを見ると
「やっぱり寮は楽でいいなー」と感じるのであった
同じタクシーに4人で相乗り。新人スチュワーデスは後部中央に座る
オペセンから寮までは約15分の道のり、
ウトウトしている間に寮の車寄せにタクシーが着く
カートとスーツケースをガラガラさせて寮の玄関を入ると、
ホテルのような受付カウンターがあって寮監のおじさんがいる
カウンターの前には各部屋の番号が表示された電光掲示板があって
寮に戻るとまず自分の部屋のボタンを押すのが決まりだ
このボタンを押すと受付カウンターの中のボードにグリーンのランプがつき、
在室であることが一目でわかる仕組みになっている
靴を脱いだら下駄箱へ。スリッパに履き替える
ズラッと並んだ郵便受けに自分宛の手紙がないか確認する
そういえば、このあいだ下駄箱の前でちょっとした事件があった
ローマで買ったフェラガモのパンプスを盗まれた先輩がいて、
寮監さんに半泣きで何かを訴えていた
これって嫌がらせなのか、それとも最近よく玄関まで来ていた、
可愛いけど白くてきたない野良犬が持っていったのか!?
嫌がらせだったらコワイなーと思いつつ、同期にそのことを話すと
「西郷さんの犬が犯人じゃないの?」と言われ、
「犬飼ってないし、わたしは西郷じゃないし・・・」
とムッと来たあかねちゃんであったがそんなことはサッと忘れ、
エレベータホールへ向かう。ドアを開け、先輩たちに先にエレベータに乗ってもらう
あかねちゃんも別のエレベーターに乗り、自室のある10階へ
廊下の両側には部屋のドアが並んでいる
部屋は六畳ほどの大きさなので荷物を広げたりするには手狭だ
フライト前に荷造りが終わるとスーツケースを部屋に置くのは邪魔なので
みんな廊下にスーツケースを出している
各部屋のドアごとにスーツケースがあり、エレベータを降りて廊下を見ると
ズラーッとスーツケースが並んでいて奇妙な光景だ
「こんにちわ」「こんにちは」・・・
廊下ですれ違う時の挨拶は寮の基本である
こんな時間に起きたのか、パジャマ姿の先輩が歩いている
「こんにちわ」「はいはい、こんにちわ」
まるでオヤジのような挨拶をする先輩はトイレだったようだ
部屋にトイレがないのは面倒だ
せめて洗面所とトイレだけでもあればいいのにと思う
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2007.4.29