スチュワーデス研究


出版メディア分析

2006年版





映像メディア、出版メディアの情報が古くなりつつあるので

2006年版として更新、まずは出版メディアから紹介





スッチー漫画

数年前に出版された二作品に注目してみた

「プロフェッショナル・スチュワーです!」は訓練生が一人前のCAを目指す様子を描く

主役の訓練生はドジでノロマな亀のごとく何をやっても失敗ばかり

インストラクターからは愛のムチが容赦なく浴びせられる

そんな中で一人前のCAへと成長して行く、笑いあり、涙ありの職業根性モノ

スチュワーデス物語の漫画版というところだ







「プロフェッシヨナルスチュワーです!」




ストーリーはOJT(機上での訓練)から始まるが、客室乗務員の仕事ついての描写は正確で

スッチー漫画の中でのレベルは高いと言える。作者は元客室乗務員らしい

初めてスッチー本の類いを読む方々にとっては楽しい漫画ではあるが

ある程度スッチー本を読んだ事のある方々は簡単にストーリー展開が読めてしまうので

かなり物足りなさを感じると思う



作風は以前に紹介した職業根性モノの小説、彼女のつばさにも似ており、

プロフェッショナル・スチュワーです!を支持される方には「彼女のつばさ」もお勧め

小説だけあってかなり内容が濃く、訓練の様子もリアルに描かれている



リアルさという面では「CAとお呼び!」も負けてはいない

プロフェッショナルスチュワーです!がスチュワーデスの表を描いているとすれば、

「CAとお呼び!」は裏を描いている



「明日、岡山ステイだけど岡山で美味しい店ってある?」

「うん、やっぱホテルの近くのコンビニでしょ」など、実際にありそうな会話の連発である

ステイ先のホテルがランクダウン、豪華なホテルを横目にクルーを乗せたバスは

オンボロホテルに到着。そんな描写もあって笑わせてくれる

機内でいい男がいないか探し、合コンに命をかけている主人公は

契約制の貧乏スチュワーデスで夢は寿退社・・・



スッチーの私生活、社内の人間関係などがブラックジョークっぽく、面白く描かれているのは

野小和代の本と同じ分野であろう。制服もJEXに似ていてなかなか萌える

機内で乗客を逆ナンパするなどのセクシーな描写もあったりして、ひと味違った作品だ

今までのスッチー本は読み飽きたという方にはお勧めの一冊







「CAとお呼び!」




スッチー本 (ルポ系)

機内でこんなことがあった、こんなスッチーがいた、こんな事件があった、

スッチーの仕事の実態はこうだ、などを書いたスッチー本は相変わらず出版が多い

しかし中身は昔と変わらず、この分野の出版は10年前と比較しても進歩がないようだ











また以前にも指摘したがおしぼりでござる事件

今だに自身の体験のように書いている本もある

他人のネタをパクるのは出版業界で常識とは言え!?、読んでいて気分が悪い

超辛口の批評になってしまったが出版社にはおかれては

読者のニーズを理解し各分野に特化した楽しい本を出してもらいたいと思う

広く・浅くという本は一冊読めば もう満腹・・・



アメリカ人の現役CA、レネ・フォスが書いた、

「フライトアテンダントのちっとも優雅じゃない生活」は一風 変わったケース

内容は日本のスッチー本とあまり変わらず、機内での出来事や仕事のグチなど

タイトル通りの中身であるが、めずらしいのはこの本が舞台化され本人が主演して話題を呼んだこと

こういうのを現役日本人CAがやってくれたりすると楽しいかもしれない





イラストが主体のスッチー面白本の第一人者だった野小和代(元JAL)の作品は

ここ数年 新作がないようだが、インターネットで人気があったKeiko(元ANA)の

「伝説のスッチー」のシリーズは数冊が続けて出版された

興味のある方は上記キーワードで検索すると簡単に見つけられる

同名のホームページには四コマ漫画風の作品が残されているようなので

初めて知ったという方は是非見に行かれてほしい

自身の勤務経験から書かれているネタ+イラストは野小和代と同じ分野ではあるが

読んでいて非常に面白くイラストも楽しめる







野小和代「笑うスチュワーデス」のシリーズ(左)とKeiko「伝説のスッチー」のシリーズ




スッチー小説 (フィクション)

「茜のフライトログ」は客室乗務員についての描写が最も細かい

同本のあとがきによると作者はパイロットで妻がCAらしい

執筆にあたってはパイロットの友人や妻から情報を集めたそうだ

CAを主役とした航空サスペンスで舞台は国際線の機内である

主役である訓練生・茜が乗務する便で急病人が発生し・・・



ブリーフィングからシップへ、ボーディング、機内サービスなどCAの仕事の流れ全般、

病人が発生しドクターコール・・・全てが丁重かつ正確に描かれている

例えば、CAが機内に乗り込み、準備作業(プリフライトチェック)をするところ



 緊急用装備品の点検を済ませ、ギャレーの点検に入る

 最初に電機系統のチェック、リクイド・コンテナ、おしぼりオーブン、コーヒーメーカー、

 ホットウォーターメーカー、ホットカップ、ディッシュウォーマーカートの

 各スイッチをオンにする。もしオンのライトが点灯しない場合はメモをして

 メカニックを呼ぶ。続いてミール搭載チェック。ケータリング会社のスタッフと一緒に

 メニューカードと照らし合わせながら、すべての機内食が搭載されているか確認、

 コーヒー、スープの保温コンテナの内容と動作を確認、リカーコンテナの搭載を確認、

 保税シールの封は・・・



という調子でまるでマニュアルを読んでいるかのごとき描写

専門的な用語や表現が多ければ多いほど、マニアとしては引き込まれる

航空機運航の様子もよくある航空小説と同等で、リアルさという面では100点満点

CA上級マニアの方々にはお勧めの小説である

作者は夏見正隆となっているが、掲示板やブログの情報によると「彼女のつばさ」の作者・惣領隆と

「茜のフライトログ」作者・夏見正隆は同一人物との指摘もある

もしも同一人物であるのなら、ストーリー途中で絶版になってしまった彼女のつばさの続編を

是非書いてほしいものだ







「茜のフライトログ」




スッチー本に限らず、出版業界全般にある事なのかもしれないが

一度スタートさせた長編小説なり長編漫画なりは、必ず最後まで続けてほしい

せっかく面白く読んでいても続編が途絶えてしまっては消化不良

途中でやめるのなら、いっそのこと主人公のスッチーがあの世に逝ってしまうとか

勤めていた航空会社が倒産するとか、地球が滅亡するとか(笑)、

出版が出来ないならネットで簡単に最終回を用意するなど出来ないものか(マジ)

とにかく途中で終わるのは無責任過ぎる

責任者出てこい!っと。





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2006.2.15