スチュワーデスと知り合うには
〜上級者編 パート3〜
上級者編パート2までお読み頂き、
いつ更新すんだよ!ったく、相変わらず遅いな、と思っていた方々、
大変長らくお待たせしてしまいました・・・
時刻表から読み取るシップパターン、座るべき座席などは今までの章でご確認を。
今回はシップパターンを用いた具体的なケースを紹介したい
これは数年前のケース
当サイト ボランティアスタッフA氏は早朝の広島行きに乗っていた
座っていたのはB767の最後尾席
彼はスチュワーデス研究での戦法を実際に使っている一人だ
A氏の外見はタダのオヤジ。しかし機内では礼儀正しく謙虚、
話術は上手い訳ではないが明るくよく喋る、ごく普通の30代
A氏は機内で終始仕事の準備に徹していた。というのも出張先での会議用の資料を
前の晩に整理していなかったので機内で仕事をする必要に迫られたのだ
書類を大量に広げるので当然目立つ
このデジタル時代に大量の紙とは仕事マジメなアナログバカという感じである
しかしながら意外とこのような事が「目立つ」方法として適切だったりする
着陸態勢に入り、CAがジャンプシートに着席した時点で
まずは手始めに天気などの差し支えのない世間話から切り出す
CAからは「お仕事で広島へいらっしゃるんですか」と聞かれる
広げていた書類が見事にきっかけになった瞬間である
A氏は自身の仕事の話をサラッとしてみたりする
そして着陸し、機体がターミナルに着きドアが開くのを待っている時間、
最後部座席とトイレのあたりの「孤立空間」でA氏はCAに再び話しかけた
他の乗客はドアが開くのを待っているために目線は前方に向いていて
誰も最後方にいるA氏とCAへ視線を向ける者はいない。理想的な孤立空間である
「スチュワーデスさんも大変ですね。みなさんはこの便でまた東京に戻られるんですか?」とA氏
ある程度スケジュールの予測はつくが、CAに直接スケジュールを聞いてみるという荒技だ
「これから沖縄へ行って、また広島に戻るんです」とCA。
A氏はここであえて便名は聞かなかった。偶然を装ったとしても再会した時の感動が薄れるからだ
「そうですか。スチュワーデスさんって一日にそんなに多く飛ぶんですね」
一日に数便飛ぶのを知っていながらトボけるのも大変だ
その後、可もなく不可もない世間話をしているうちにドアが開き、
乗客の列は前へ前へと進んで行く
A氏も「それでは、またいつか」と爽やかに挨拶し降機。
A氏は市内に向かうバスに乗りながら、時刻表を見つめる
広島発沖縄着、そしてまた広島。では広島に着いたB767はどこへ・・・
自分が乗ってきたB767のシップパターンをインターバルの時間も考慮し
具体的な便名をも推測してみた
東京→広島(1レグ目・乗って来た便)
広島→沖縄(2レグ目)
沖縄→広島(3レグ目)
広島→東京(4レグ目)
CAには勤務規定があって一日に飛ぶ時間・回数の制限がある
これは社によって違うが一日/4回・フライト6時間まで
というように決まっている
フライト時間の制限を考えると4レグ目は確実に"DH"で羽田に戻ると読んだ
4レグ目は無く、広島ステイという可能性もあるが
いずれにしてもA氏はこの日、広島日帰り出張のため、帰りの便を選び乗るしかない
それならば、また同じCAと出会えるように便を選択しようという試みだ
ちなみにDHとは「デッドヘッド」「便乗」のこと
機内で勤務を行わず、乗客と同じ席に座って移動する
制服の上にカーディガンや私服のジャケットなどを着て
後部座席のあたりに集団で着席しているCAやパイロットを見たことがあるだろうか?
それがDHである
昔、スチュワーデスは機内で搭乗客の人数を確認するという作業を行っていた
この時、手にカウンターを持ちながら着席している乗客の頭数を数える
パイロットやスチュワーデスが移動の為に乗っていることもあるので
その際には彼らを頭数には入れずカウントしていた
日本でも南西航空(現JTA)などは1990年前半くらいまで
せっせと手作業でカウントしていたと記憶する
デッドヘッド・DHはDead Head=死んだ頭、というのが語源である
実際に疲れて死んだように眠ってしまっているCAも見る事がある
そんなCAを見かけたら、
「あっ、これがホントのデッドヘッドだよ」と一人でオチを言ってみるのが上級者だ!?
その後、A氏は出張先での仕事を強行かつ速攻で終わらせる
帰りに本来乗るはずの予約していた便より、もう一便早い便に
あのCAが乗っていると予想したからだ
広島某所から空港へタクシーを飛ばす。もちろんタクシー代は自腹・・・
空港に到着したのは便出発の15分前、チェックインし、ロビーを駆け抜け、搭乗口へ
この日の羽田行きは乗客が少なかったらしく、搭乗口に着いた時には
乗客はすでに機内に乗り込んでいて付近に人はいなかった
A氏は足早にボーディングブリッジから飛行機へ
ドアで出迎えているスチュワーデスの顔をチラッと見る
機体の後方座席を目指すべく歩き始めながら他のCAもチェック
その便のCAたちはA氏が東京から乗ってきた便のクルーではなかった
あの彼女は乗務していない・・・まったくの見当違いかもしれない
不安が募る・・・
乗務していないという事は"DH"で乗っているという予想が当たりかもしれない
A氏は更に後方を目指し歩き続ける。そして、
DHのスチュワーデスたちが最後部あたりに座っているのを発見!
しかも運が良いことに空席が多く、CAたちは散らばって座っていた
A氏は行きの便で会話をしたCAを見つけるや、
「あれっ?偶然ですね!」と声をかける。
CAも驚いた様子で「あっ!こんにちわー」との返事
周辺にいた同僚のCAたちは会話する二人をみて、知り合いなんだと勝手に理解
あまり二人に干渉しないというスタンスを取る
そして1席空けて彼女の隣の席へ、さも自分の席かのように座る
その後の展開は容易に想像出来る通り。
このCAと最初は合コン、そして最終的には交際にまで発展した
A氏の努力とほんの少しの幸運がもたらした結果である
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