撮影罪

〜 1億総カメラマン時代の矛盾 〜





「撮影罪」という法律が、

2023年7月13日から施行された。










これは機内サービス中に、

友人と記念写真を撮ろうとして、

たまたま背後にCAが写ってしまった場合、

その場でカメラごと没収され、

ギャレーに連れていかれ、

CAたちから殴る蹴るの暴行を受けたうえに、

着陸して機体が停止したと同時に、

タラップを降りると、

十字架に縛られ、その場で処刑されるという、

独裁国家なみの法律である。






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撮影罪の正式名称は、

性的な姿態を撮影する行為等の処罰、

及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る、

電磁的記録の消去等に関する法律案。



具体的には、

通路で業務中のCAに対して、

スカートの中にカメラを差し入れ、

パンツを撮る行為を指す。

誰がどう見ても盗撮であり、犯罪である。

まったく異論はない。








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ニュースでは、機内は無法地帯と

報じているメディアもあり、

今まで機内でスカートの中が撮り放題だった、

という記事もあった。



機内の盗撮は都道府県の条例によって

罰則規定が異なっていた。

過去の事件では盗撮を行った時、

何県の上空を飛んでいたか、

それによってどの都道府県の条例が

適用されのかが問題となっていた。

統一した法律をということで

できたのが撮影罪。



そもそもネーミングが良くない。

レストランで素敵な料理を撮影したら逮捕。

ラーメン屋の外観を撮った瞬間に検挙される。

撮影したら何でもかんでもアウトのようなイメージ。

撮影が仕事のプロカメラマンは、

極悪犯罪者に思えてくる(笑)



そして、空港に掲示されたこのポスターの第一印象。

法律の曲解、誤解を招くと感じた。

スカートの中はアウト、そんなことは当たり前。

問題なのは、この左端である。










一番左、機内でCAの撮影が×になっている。

撮影罪とは「性的な姿態を撮影する行為等の処罰」

機内でサービス中の制服姿のCAが、

「性的姿態等」に当たるのか?



では新幹線の女性車掌は?

公共の場ということなら、

渋谷のスクランブル交差点で

シャッターを切って、

大勢の人の顔が写ったら

撮影罪が成立するのか?



いずれも答えはノー。

個人の肖像権の侵害となるが、

撮影罪には当たらない。



スカートの中の盗撮と

CAの肖像権を一緒に並べ、

まるでサービス中のCAを撮ると、

撮影罪にあたるかのような表現は

いかがなものだろうか。










このポスター右上に小さな表記がある。

『ひそかに性的姿態等を撮影する行為を指し』



スカートの中の盗撮は性的姿態に当たる。

しかし勤務中のCAの制服姿は

「性的姿態」には当たらない。



普通の人にとっては、

飛行機はいまだに特別なもの。

旅行計画を立て、

飛行機の旅を楽しみにしている。

機内食、窓からの風景はもちろん、

機内でサービスするCAも

楽しい旅の風景の一部であり、

楽しい旅を演出するのもCAの

大事な役目である。



カメラを向けられることを嫌うCAがいる、

カメラをキャビン向けると、

乗客からのクレームも心配、

したがって、キャビンは撮るな!

などというエアラインは世界に存在しない。

そうなると冒頭に書いた独裁国家のエアライン。

と感じざるを得ない。



CAはエアラインの看板である。

これは昔も今も変わらない。

看板だからこそ、

制服のデザインには力を入れ、

魅力的な制服を着用する。

女性の魅力も前面に出す手法も

昔と変わらない。



CAはエアラインの看板、広告塔。

看板は宣伝のためにある。

しかし、看板、広告塔の撮影は禁止です。

これは矛盾している。










ANA広報のコメントは、

「お願いとしましては、

 撮影を一緒にというお声掛けをいただき、

 本人の了解を得ていただければ、

 トラブルに発展するケースは

 なくなるのかなと考えております」

あやふやな言い方で、どうも統一感がない。



CAに声をかけて承諾を得てから撮影すればよい。

と考えるのは普通だろう。

しかし、日本人乗客は恥ずかしがり屋が多い。



CAがドアでお出迎えの挨拶をしても、

「おはよう」「こんにちわ」は返さない。

注文は「コーヒーお願いします」ではなく、

「コーヒー」のひと言だけ。

コーヒー出しても「ありがとう」も言わない。



非常識でも悪い人でもなく、

サービスの受け方に慣れていないだけ。

無口、自己表現が不得意、

むかしから日本人乗客はそんな人が多い。



家族で、夫婦で、友人と、機内で記念撮影。

後ろでたまたまCAがサービスしている。

美人だし、写真撮りたいなー。

しかし「撮ってもいいですか?」などと、

声をかける勇気は無い。

断られたらどうしよう。恥ずかしい。

どちらかといえば、それが普通の感覚だろう。



スカートの中の盗撮など論外。

盗撮の話をしているのではない。



普通に機内の写真が撮りたいだけの人もいれば、

偶然、CAが写り込む場合もあるだろう。

美人CAを撮って、

旅の思い出としたい人もいるはずだ。

旅の思い出作り、それさえアウトか?

こんな乗客の単純な心理、

わかってもらえないのだろうか?



撮られるのがイヤだというCAは、

「キモい男やオッサンに、

 撮ってもいいですか?と聞かれても断るが、

 木村拓哉や福山雅治だったら、OKでーす。」

と本音を言うべきだ。










歴代制服ショー、何かの記念フライト、

こういった場では写真を撮ることは許されている。

エアラインとしてもSNSで拡散してもらえれば、

宣伝になる。

TikTokでは制服姿で流行のダンス。

フェイスブックではお見合い席でニッコリ。

CAは航空会社の広告塔である。










イベントであろうとフライトであろうと、

客の前に出る看板、広告塔である以上、

カメラを向けられるのはイヤです、

と言うのはプロ意識に欠ける。



世界のどのエアラインでも

カメラを向けたら、

ニッコリ笑ってくれるのがプロ。

それが、ザ・キャビンアテンダントだ。



名札を付け、制服を着て、

会社を代表する看板、広告塔となる以上は

CAの存在自体が広報宣伝活動の

一部であることを教育すべきである。



スマホの普及で一億総カメラマン時代のいま、

CAを撮ったらダメなどというのは、

あまりに無理がある。






「自由を!」



ANAは機内ビデオで撮影罪を告知するらしい。

JALは遠回しに、撮る時は声をかけて承諾を、

というような動画をアップしているのは

巧みな計算といえるだろう。

JALの公式Tiktok





いっぽう中国ではCA自身が自らのエロ動画を

ネットに投稿するのが流行?!している。

機内のトイレ、ギャレー、クルーレスト、

背景を観察すると明らかに本物。

中国南方航空、東方航空、厦門航空、海南航空、

香港のキャセイもあった。

制服も本物なので、現役CAの仕業だろう。



中国は規制が厳しくなっていき、日本は自由のまま。

というのが普通であるはずが、立場が逆転している有り様。

世の中、間違っている。まさにカオス。






















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2023.7.18