制服のデザイン

〜 パンスト2021 〜





かつてパンストは

会社から支給されていた。

これはストッキングも制服の一部で

トータルコーディネイトされていたため。



紺色ストライプ制服に合わせ、

デザイナーの芦田淳が

パンストの色や質感に至るまで決めたのは

ANA8代目アシダジュン制服。



この制服でCAが勝手に黒や肌色の

ストッキングを履いたりしたら、

全体のファッションのパランスが

崩れてしまう。

そんな理由もあってパンストも

決められたメーカーの製品で

会社からの支給品だった。






ANA8代目アシダジュン制服。パンストはカネボウ・ベルパワー



女性のパンストは男性の靴下とは違い、

見せるファッションでもあることから、

多種多様な製品がある。

履きやすさ、締め付け具合、履き心地、

毎日毎日、何年も続けて何着も履いていると、

どこのメーカー、どの製品が良くて、

これは伝染しやすいとか、

丈夫さ、質感、色の濃さ、

コストパフォーマンス・・・

女性はパンストに対して、

いろいろなこだわりを持っていると思う。



見た目からしても、

ツヤツヤしているもの、テカテカしているもの、

肌の透け具合によって見え方も違ってくる。

「デニール」はパンストの生地の厚さを表す数値。

数値が少ないほどパンストは薄く、

大きくなればタイツのように肌が見えない。



支給されていた頃は

CAが好みのパンストを選ぶこともなく、

パンストは1種類のみ。

JALは7代目制服の時、

二つの製品から選択可能だった。

アツギ・フライトシェープ、カタクラ・キャロン、

見た目は変わらず、

履き心地の違いがあったらしい。






JAL7代目制服、パンストの色はロイヤルブルー



コスト削減でパンストが支給品でなくなり、

CAが自費で購入するようになったのは、

JALは8代目、ANAは9代目制服から。

CAが好きなメーカーの好きな製品を

購入するようになると、

当然のことながらバラつきが出てくる。



黒と決められていても、

その濃さは様々なので

25デニール前後、10デニール以下はNG、

肌がこれくらいの透ける濃さ、

など具体的な規定が各社設けられた。










穴あき、ガーター、太ももまでのモノ、

普通のパンストではない選択肢もある。

スカートの中が見えるわけではないので

エロいストッキングを履いても、

誰も気がつかないが、

そんなプレイでもない限りは

普通のパンストを履いていると思われる。

もし、Tバックにガーターストッキングだったら、

緊急脱出でシューターを滑り降りる際、

スカートがまくれ上がると、

尻がズルむけになる可能性がある。






ANA787の緊急脱出、滑り降りるCA
みんな先に逃げてしまい、下に援助者がいないというひどい仕打ち。




ANAの客室部に設置されている自動販売機。

食べ物、飲み物のほかに

物品を売っている自販機がある。

歯ブラシ、マニュキュアを落とす除光液、

靴みがき、髪を束ねるネット、ポストイット、

そしてパンスト。










ANACA御用達のパンスト。

果たしてどこのメーカーだろうか。

答えは、

カタログ通販のセシール。



アツギやグンゼなどの

大手メーカーでないのは意外。

社内で売られているということは、

おそらくコストパフォーマンスが良く、

継続して同製品が置かれているので、

CAからの評判も良いのだろう。



光の当たり具合にもよるが、

キレイなパンスト、さえないパンスト、

いろいろあったりする。

最も綺麗だと思ったのは

やはりカネボウ・ベルパワー。

独自のブルーの光沢、

デザイナー芦田淳のセンスも光る。






2021年、ANA御用達のパンストは「セシール」



JALミニスカ制服をデザインしたモリハナエ、

日本アジア航空の君島一郎など、

日本的なコテコテさと派手さが独自で

セクシーで、カッコよく、光り輝くような制服が

近年は無くなっているような気がする。



ANA10代目のグレーにブルーのラインが

入った制服に代表されるように

全体的にスタイリッシュな欧米デザイン、

とでも言おうか。

それはそれで魅力的な制服なのだが、

デザイナーの世代交代や流行とともに

日本的な要素、日本独自ともいえるデザイン、

良さが失われていないだろうか。






君島一郎デザイン。日本アジア航空



ファッションやデザインは巡り巡って

数年後、数十年後に同じ流行が

来る時があるという。

航空会社が客室乗務員を宣伝材料として使う限り、

その制服は華やかで魅力的であることが

求められているのは今も昔も変わりない。

エアライン各社とも制服改訂を行う余力は

当面は無いと思われるが、

新制服になる時には

個性ある魅力的な制服の登場に期待したい。






1970年代のミニスカートブーム期。
モリハナエデザイン、第一勧業銀行ミニスカ制服












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