CAと知り合うには
〜コミュニケーション〜
2010年4月。ANAのニューヨーク線に新たに就航したのはB777-300ER。
これを機会に座席にタッチパネル方式で食事メニューを選択できるサービスが登場した。
しかし、わずか一ヶ月でサービス終了。
座席のタッチパネルで選択、好きな時間に好きな食事・飲み物が提供されるという
ANAの新型座席失敗の図。
乗客、使い方がわからず → CAが各席に説明に走る →
→ 説明に走るCAが増える → 食事・ドリンクの提供が遅れる →
→ 乗客からクレーム → 謝りに行くCAが増える → サービスが更に遅れる
新型タッチパネル座席は"クレーム製造マシーン"と化してしまったらしい。
会社の方針には黙って従う客室乗務員たちもさすがに今回は対応がしきれず、
「あー、もうダメ~、サービスがメチャクチャ」とギブアップ。
「いったい誰がこんなもの、考えたのよっ!」とCAたちは文句タラタラだったそうだ。
タッチパネルで注文などとはハッキリ言ってセンス無さすぎというか、
サービスの根本を何と心得るか、と言いたい。サービスは人と人との間で営まれ、
形だけではあっても言葉や心で互いの気分を快適にするもの、かと思う。
好きな時間に好きな食事をしたければ、CAを呼べばいいだけの話。
最近の家電製品。
新製品になると「何だ、これ」という無駄とも思える新機能がついている、
パソコンやソフトをアップグレードするとこれまた余計な新機能がついていて使いづらい、
そんな経験をされていないだろうか。新機能に慣れ、それがベストであれば問題ないが
どう考えても誤りだろうというケースもある。開発者は新機能を付加することに必死で、
顧客のことなど考えていないのではないかと疑いたくなるようなモノも少なくない。
一方、簡易化・合理化を求め機械やコンピュータに頼るべきものがあるのは当然。
駅員の優しい笑顔も必要かもしれないが、自動改札機はより現実的で実用的。
食堂の券売機の類いも同様であろう。
しかし飛行機は違う。仕事であろうと旅行であろうと電車やバスとは違い、
それなりの心踊る気分になるのが「空の旅」
それをいかに演出するかが航空会社の腕の見せ所でもあるわけで。
とにかく近頃の座席は気に入らない。
それはインターネットカフェのような安っぽい空間に見えて仕方がないからである。
第一にカベが多く、高さも有ると、CAがサービスしている姿が観察しにくい。
通路を歩くCAの尻も見えない。
ANAの新型Fクラスに至ってはなぜか窓側にも壁があって乗った方の話によると 「窓側なのに外が見えん!」とご立腹。
個室空間を目指すがあまり、そのインテリアはますますネットカフェに近く、おかしなことになっていく有り様。
高級感を目指しているにも関わらず、(一部のエアラインでは)逆に安っぽさを
演出していることをいつになったら気づくのだろうか。
個々の時間や空間、プライベートを大切にする現代であるが略すべきものと存在すべきもの、
その区別はしっかりつけてほしいと思う。
エアラインの「壁だらけネットカフェ風シート」は現代のコミュニケーション不全を象徴しているようにも思える。
将来的にCAを全廃してタッチパネルによりサービスを機械化するという近未来があったら、
CAfun的には恐怖の時代である。CAもいない飛行機なんてピッチャーがいない野球のようなもの、
ゴールのないサッカーみたいなもの・・・
前項の個室空間の是否から続く管理人の文句ったれシリーズ。
コミュニケーション不全を強いられるような状況、これを打破する必要が今後は増えていくと思われる。
懐古趣味と言われようがやはり昔の747のラウンジのような"空の社交空間"が理想なのだ。
そうでないとCAさんとお話が出来ないではないか!
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2010.9.13