CAと知り合うには

〜失敗は成功のもと その5〜




好みのタイプではなかったので合コンに持ち込もうと考えた。

山田CAの同僚、同期を引っ張りだしてくる「芋づる式」の実践である。

合コンでもしましょうかと連絡をしてみると何なくOK。

ひょっとしたら美人で良い子が知り合いにいるかもしれないと期待をした。

日時は決まり、場所はどこがいいか聞くと「銀座」がいいと言う。

銀座はあまり詳しくないと伝えると店は山田CAが決めるとのこと、すべて任せた。

人数は3対3、契約制の同期を連れて来ると言う。







さて当日、銀座で待ち合わせて男3人、JALCA2人が揃った。

もう一人のCAは後から来るらしい。

山田CAの同期は平凡なタイプ。美人でも不美人でもない。

芸能人で言うと古くて申し訳ないが「風吹ジュン」という感じだった。



店はちょっと高級なカラオケの個室で食事も出来るような所だった。

その店に入って山田CAの第一声、

「すみません、予約をした日本航空のものです」

合コンごときで何も会社名で予約しなくても、と男性陣は目を合わせて苦笑い。



おそらく入社したばかりなのでJALであること、CAであることを自慢したいのだろう。

この予想は見事に当たっていて飲み始めると山田CAがこう聞いてきた。

「わたしたちって どこの航空会社のスチュワーデスに見える?」

どこって!?・・・

「日本貨物航空」とか「タンザニア航空」とか言おうと思ったが

ジョークはまったく通じなさそうである。



「JALかな」と渋々答えると、

CAたちは「やっぱり!」と嬉しそうな顔。やれやれである。

その後もいったいコイツらはどうなっているんだという展開に。

会話の内容といえば我々の職業のことや間接的に年収を聞いてくる・・・

場を盛り上げようとはせず、もくもくと食事をしているだけ。

男性チームは必死に盛り上げようといろいろな話題を振るのだが反応は鈍い。



CAfun管理人は当時ワインに凝っていた。

この頃はカリフォルニアのナパバレーのワインの評価が高くなっていた時期で

店にはそれらナパバレーのワインが置いてあった。

CAたちはあまり酒を飲まなかったので男だけ飲み出した。ワインはもちろん美味しい。

すると風吹ジュンCAがワインを手にとった。

裏のラベルには「輸入元サントリー」と刻印してあったのだが、

それは単なる輸入元であって生産者はロバートモンダビという有名ワインメーカー。

美味しいねぇと男たちが話していると風吹ジュンCAがワインを見ながらボソッと一言。

「へえー、サントリーのワイン飲んで おいしいって言ってるんだ」

おいおい・・・

ナパバレーの高級ワインをサントリーワインと勘違いするとはひどすぎる。

だいいち銀座の高級っぽい店にサントリーワインとかメルシャンワインとか、

養命酒とかの類いが置いてあるわけないっつーの! と突っ込もうとしたが

ボケもツッコミも何もかも通じないのがわかっていたので、適当に笑っておいた・・・



そのあと遅れてもう一人のCAがやって来た。芸能人でいうと榊原郁恵。

このCAは明るくペラペラと喋るタイプだったので場は少しは盛り上がった。

風吹ジュンCAと山田CAはと言うと

きょうの合コンはハズレだわ、あー帰りたいという顔をしている

それでもスタートから2時間。この雰囲気でよく2時間もったと感心するような合コンだった。

当然2軒目などはなく、すぐに解散。



帰りの会計時、

唯一、まともではないかと思った榊原郁恵CAにこっそりと連絡先を聞いてみた。

他の二人のCAは論外、榊原郁恵CAとなら次も合コンが出来るかもしれないと思ったからだ。

さらに「芋づる式」を実践したわけである。自宅の電話番号を書いた名刺を受け取り、

こちらも連絡先を教えた。「連絡しますね」と榊原CA。

その後、連絡が来ないのでこちらから電話をしてみることにした。

名刺に書かれた自宅の番号に電話をしてみると、

「現在この電話番号は使われておりません。番号をお確かめのうえ・・・」

電話番号はハッキリと書いてある。1と7などの書き違いも無い。

やられた。

デタラメな番号を教えられたのである。

いまどきそんなことをする女性がいるとは・・・呆れるばかりであった。




その時の名刺。



1対1のお見合いでもあるまいし、合コンというのは楽しい飲み会であるべきなのは当然のこと。

それらが完全に否定されたあまりにもヒドイ飲み会であった。

そもそも、機内でCAのほうから名刺くださいなんていうこと自体が

普通ではないと気づくべきであった。

名刺をくれと言ったのは合コンのための無差別爆撃で

どうやら男の品定め合コンの常習犯のようである



私たちはシーエーよと鼻高々、男の職業年収調査、場の雰囲気は壊す・・・

こんなCAたちと遭遇したのはこれが最初で最後の経験。

新卒とは違い社会経験もあるはずなので、もっときちんとしていて良いものだが

憧れていた日本航空のスチュワーデスになれたことで舞い上がっていたのだろう。

いずれにしてもお育ちの悪いCAさんたちであった。



芋ヅル式にCAを引っ張り上げてくるのもいいが間違ったツルを引っ張ってしまうと悲惨である。

類は友を呼ぶ。もしも掴んでしまった時はすぐに手を離すべし・・・か。







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2010.4.22

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