スチュワーデス研究
日本航空 スカイスリーパー
皆様方は「スカイスリーパー」をご存知だろうか?
現在のFクラスのシートは完全にフラットになるが、
1970年代のJALのボーイング747型機では
現在のフルフラットシートを上回る凄いシートが
存在していた。
日本に初めて747が導入された1970年、
一般大衆にとって飛行機は贅沢な乗り物だった。
乗客数も多くはなく、無理に席数を増やす必要が無かった為に
747の2階席などは各社趣向を凝らした空間が存在しており、
当時の日本航空747の2階席はラウンジだった
1978年、
サービス向上の為、JAL・747二階席に
寝台が7席設けられた。
それが「スカイスリーパー」である
この寝台はファーストクラスの乗客が
5万円から6万円程度の追加料金を
支払う事によって利用出来た (路線により料金が異なる)
離着陸時は利用出来ないが、
巡航中であればいつでも利用可能で
寝たい客は1階最前部の自分のFクラス席から
アッパーデッキ2階席に上がり、
割り当てられた寝台で横になる<。
スカイスリーパーは鉄道の寝台車と同じで、
通常は座席になっているが、
ヒジ掛けを跳ね上げることによって
ベッドが出現する。
パーテイションを降ろし、カーテンをつけることで
空間は完全に仕切られ、個室寝台の出来上がり。
現代のフルフラットシートと違う所は、
完全に仕切られた個室空間の為に
パンツ一丁でも気兼ねなく寝られることである。
後に大量輸送時代を迎え、座席数を増やすために
スカイスリーパーは廃止されてしまうのだが、
この寝台席の廃止にはそれとは別の理由も存在した。
長距離路線で横になれるというのは贅沢の極み。
乗客に大好評だったサービスが廃止された理由は何か?
それはスカイスリーパー席の乗客が
CAにセクハラしまくったからである。
あるフライトの話。
ピンポーン♪とコールボタンの鳴る音、
ギャレーにいたスチュワーデスが
ボタンを押したスカイスリーパーの乗客の席に向かう。
寝台を使用中の為にスカイスリーパー席には、
カーテンが引かれており、通路も暗い。
失礼いたします、お呼びでしょうかと
カーテン越しに声をかけると、
「あー、ちょっとこっちに来て」と乗客の声。
カーテンを空けて中に入ると、
なんと乗客は全裸!
そして変なサービスを要求される。
「お姉さん、ちょっとここを触ってくれないかな」
と機内でチン○を出すのが
最も多いセクハラパターンだったそうだ(笑)
さすが1970年代のエロオヤジはパワーが違うというか、何というか
CAの反応を見て楽しんでいた乗客もいたに違いない。
いくらファーストクラスの客とはいえ、暴走し過ぎである(笑)
今であれば迷惑行為や航空法違反で
事件になるようなニュースかもしれないが
当時のJAL客はワガママ放題、
JALもそれを許容することがサービスの一部と考えていた。
従って、スチュワーデスが通路で
尻を触られるなど日常茶飯事。
そんな程度のセクハラは、
いちいち構っちゃいられないという状況。
Fクラス、しかもスカイスリーパー使用の客ともなれば
常に飛行機に乗るお得意様。
セクハラくらいでは怒らないのが当時のJAL。
ある意味、良い時代であった。
こんな事件がごく日常的に多発。
乗客がスカイスリーパー席でコールボタンを押す際には、
カーテンを必ず開いた状態でボタンを押してもらう。
というヘンテコな決まりを作り出し、乗客にお願いする始末。
しかし恐るべし、JALのオヤジ乗客。
それでもスカイスリーパー席でのセクハラはやまず、
ダメだこりゃ! ということで、
1987年に廃止されるに至った。
ウソのようなホントの話である。
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2006.5.19