メディア分析


2006年 フジテレビ「アテンション プリーズ」考

〜徹底批評〜






細川知栄子 作 コミック「アテンションプリーズ」



さあ、「新・アテンションプリーズ」はどうか

オリジナル作品を知らない方々にとってはドタバタ喜劇で恋愛劇も混じった、

ちょっと泣ける上戸彩のハチャメチャスッチードラマ、という風に映ったと思う

それはそれで面白いドラマかもしれない

しかし「アテンションプリーズ」はそのようなドラマではない。



訓練生同期の中での激しいイジメ、女性の職場特有の人間関係、

そんな中で成績は最悪であるがいつも明るく、おせっかいで思いやりのある訓練生、

美咲洋子が一人前のスチュワーデスになるまでを描くドラマである



ドラマの中で強烈に心に残るのは同期のイジメシーン、

これぞ職業根性ドラマという感じだ

例えば、美咲洋子が試験に合格し訓練所に初めて出社するシーン

高校時代のライバルだった香川妙子と訓練所の入り口で遭遇する



香川「あらっ、ご見学?わたくし今日からこちらの訓練所に入ることになりましたの」

美咲「わたしも!」

香川「え゛ぇーっ!あなた、ほんとうに合格されたの!?」



としょっぱなから皮肉が炸裂する

美咲洋子が女子トイレに入ろうとすると中から同期の訓練生の話し声が・・・



「美咲さんって確か佐賀の山奥の出身よね」

「わたし、だから嫌いなの」

「どっから見ても田舎者よね」

「会社もよっぽど人手不足なのね」



という感じでイジメと皮肉の連発。主人公には訓練と人間関係の二重苦に陥る

そのうえ訓練途中で父親が病気で倒れたりもする・・・

それらの苦難を乗り越えていくのが見所であったりする訳だ



新・アテンションプリーズはオリジナルの背景や人物キャラクターをすべて変えてしまった

訓練生同士の人間関係の演出も薄く、主役をはじめ訓練生や教官のキャラクターも変え、

オリジナル作品と同じ部分はほとんど無いに等しい

これは戦国自衛隊1549と同じく典型的なリメイク失敗作のパターンである



耳障りだった点。

そば屋のオヤジや整備士役、その他出演者の多くが

キャビンアテンダント、キャビンアテンダント、と舌を噛みそうになりながら

キャビンアテンダントと連呼しているのには呆れた

もうわかったから何度も何度も言うなと(笑)

「キャビンアテンダントと呼ぼう!」というキャンペーン番組かと思ったくらいだ



キャビンアテンダントと呼称を替えた理由は男女差別云々など

世界的な動きではあるが何もドラマでそんな点にこだわる必要もあるまい

世間ではスッチー、スチュワーデスと呼ぶのがまだまだ一般的

そば屋のオヤジがキャビンアテンダントなどと言うだろうか?

普通はそのような呼称は知る訳もない。ドラマとしても非常に不自然である

また航空関係者であっても普通は「シーエー=CA」と呼ぶ

かつてスチュワーデスは「デスさん」と呼ばれていた

長ければ略す。それがいまの日本語文化である



マクド、ケンタ、くらいなら可愛くてよいだろう

しかしハンバーガーチェーンの「ファーストキッチン」は

渋谷ギャルに「ファッキン」と略されてしまい、社内では頭を抱えているという



キャビンアテンダント、キャビンアテンダント、と言い続け、

もしそれが世間でポピュラーな呼び方になったとしたら絶対に略される

考えただけでも恐ろしい


・キャビ アテ

・ビンちゃん

・キャビソ

・ダント(もちろん渋谷ギャルのような尻上がりの発音で)

などとなったら最悪である



リアルにすべきはCAの訓練の内容でありCAの姿であって

なぜ呼称ばかりに徹底してこだわるのか

こういうシーンがあるとドラマに引き込まれなくなり感情移入も出来なくなる


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2006.7.1