スチュワーデス研究


映像メディア分析・パート1

テレビドラマ / 1970年 - 1980年代前半





スチュワーデスが登場するドラマ。

実在の航空会社を舞台にしたドラマは数々ある

本章ではそれらのドラマを当サイト独自の視点から分析していこうと思う





最も古い「スチュワーデスドラマ」は何か?

それはTBSの「アテンションプリーズ」である

製作は1969年、DC-8で世界の都市を結んでいた黄金期の日本航空が舞台である

高度成長期にあった日本でミニスカブームが起こったのはこの頃、

航空会社も流行に乗り、人気デザイナーのモリハナエにデザインを委託、

靴には巨大なボンボリがつくミハマ調、そして紺の超ミニスカに

紺ストッキング、赤いエナメルベルトに赤紺のスカーフ・・・・

従来の地味な制服と比較すると非常に斬新なデザインだった

この制服とテレビドラマの相乗効果は抜群、

スチュワーデスは男性からも女性からも憧れの存在となった







JALモリハナエ制服




ストーリーはこの手のドラマの王道、

田舎から出て来た主人公が一人前のスチュワーデスになるまでを描く、

青春&職業根性ドラマである

よくアダルトビデオなどでスッチー役のAV女優が

アテンションプリーズ!というセリフを言ったりするのを

観たことがあるだろうか

この言葉はドラマのヒットとともに当時の流行語となった

スチュワーデスといえば、アナウンスの言葉はアテンションプリーズ!

こう思い込んでいる諸氏も少なからずいるのではないか?





しかし!

アテンションプリーズなどという機内アナウンスは昔も今もない

これは空港での呼び出しの英語アナウンスに使われている言葉。

「何々様、お呼出でございます。お近くの係員に・・・」

という平凡な呼び出しの頭に使うアナウンスなのである

なぜこの言葉がドラマのタイトルになったかは不明だが

大勢が見送りなどに来る空港でよく聞かれる言葉なので、

当時飛行機には乗る機会が少なかった一般庶民と少しでも接点を

と考えたのかもしれない



最近のドラマでは主題歌は有名歌手が唄う曲が主流

しかし「アテンションプリーズ」はドラマの為のオリジナル主題歌があり

これが非常にユニークな歌詞である

スッチーの結婚式などで同期の独身スッチー達に合唱してほしい曲ナンバーワン。

特に最後のサビの部分がイイ・・・ (わかる人だけ笑って下さい)



さてこのドラマの名シーンは?

紀比呂子のライバル格のスチュワーデス、皆川妙子。

彼女はキツイ性格ながら完璧主義、同期からも一目置かれている

その彼女が社内の人間関係に悩む。翌日はフライトで朝が早い

しかしその夜、彼女はなかなか寝つけなかった

そんなこんなで夢の中でもうなされ、

ハッと目がさめるとすでにショーアップの時間を過ぎていた

大遅刻である

ガーーーーンという派手なBGMがかかる

当時はシリアスなシーンだったのだろうが今観ると爆笑シーン、

こんな経験を実際にしているCAも少なくない







起きたのがショーアップの時間・・・超ショック!



寝過ごしましたと会社に電話



出社して謝る。鬱だ、もう死にたい




アテンションプリーズのヒットによりTBSから後に続いたのは

1974年の「白い滑走路」

大映の二枚目俳優、田宮二郎が主演である

TBS白シリーズの中では平均21.9%と一番の高視聴率であった

田宮二郎扮するクールな杉山キャプテンに

恋心を抱くスチュワーデスが松阪慶子である

舞台は日本航空、制服はモリハナエのミニスカ、

松阪慶子の美脚はかなり萌える

JALパックの海外旅行が売り出された頃で

当時にはめずらしい海外ロケの多いドラマであった







白い滑走路・DVDも発売中




このドラマの名シーンは?

それは松阪慶子の美脚ミニスカJAL制服に尽きる

松阪慶子演じる折井薫が車で羽田へ出勤する途中にガス欠、

そこをたまたま通りかかった整備士の立花クンに

バイクで羽田まで送ってもらうというシーンがある

当時はヘルメット無しでもOKの時代

制服を着たスッチーがバイクの後部座席でパンチラ寸前の横座り・・・

今では考えられない状況である







羽田に向かう途中でガス欠。そこへ整備士の立花君が偶然にも通りかかる



送って行くよと立花君



制服のまま 横乗り




1983年、同じくTBSで放送されたのは、ご存知「スチュワーデス物語」

掘ちえみの松本千秋役「ドジでノロマな亀」はあまりにも有名だ

このドラマのせいでスチュワーデス志望者の数が激増したほど

世間に与えた影響は大きかった





製作は宇津井健と山口百恵の赤シリーズ、

スクールウォーズなどを生み出した大映テレビである

斬新なクサい演出!?も注目されたのだが、

実は脚本を書いているのが1960年代モダン映画の巨匠、

映画監督・増村保造だったりする事はあまり知られていない



このドラマの名シーン

うーん、あまりにも迷シーン!?が多く限定出来ないが

風間杜夫演ずる村沢教官と松本千秋の以下の様なやりとりは

誰の記憶にも残っているはずだ


「寅さん、またふられたんだって?」

「うるせぇ!このタコ社長!」


ではなくて、

「松本!俺はおまえをシゴいてシゴいて一人前のスチュワーデスにするぞ」

「はい!教官!松本千秋、火事場の馬鹿力で頑張ります!」

当時も今も赤面する様な演出が大映テレビの醍醐味とも言える



特筆すべきはこのドラマの撮影場所がすべて本物、

スタジオのセットなどをほとんど使用していない点であろう

日本航空の全面協力により訓練センターからCAの寮まで

すべて本物の施設が使用されている

登場人物にも本物の訓練教官が混じっていたりと興味深いシーンも多い

リアリティーという面では日本航空の丁重な監修があったおかげで

訓練内容の描写は現実に近い

現在でもリアリティーを追求したドラマという面では

スチュワーデス物語に勝るドラマはないだろう



パート2では80年代後半からのドラマを紹介予定








スチュワーデス物語・原作は深田祐介氏





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2004.1